さいころの1の目は本当に「6回振って1回」出ますか?(その1)

今日はこのような問題を考えていきたいと思います。

1から6までの番号の書いてあるさいころを6回振り、1が出るかを見る
問1:この時少なくとも1回以上1がでる確率は?

次に1からNまでの番号の書いてあるさいころをN回振る。
問2:この時少なくとも1回以上1がでる確率は?

Dice Given Isolated Probability  - LatorreFuenzalida / Pixabay
LatorreFuenzalida / Pixabay

まずは答えから。

問1:6つの目があるさいころで、1回振って1が出る確率は$\frac{1}{6}$です。よって、1回振って1以外の目が出る確率は$\frac{5}{6}$となります。
ここで、6回振ってみましょう。「6回のうち少なくとも1が1回出る」という事象の余事象は「6回振って、すべての回で1以外の目が出る」ということです。後者の確率は$\frac{5}{6}$を6回かけて、$\left(\frac{5}{6}\right)^6$です。よって求める確率は
$$1-\left(\frac{5}{6}\right)^6\left(=\frac{31031}{46656}\right)$$
です。

問2:問1で「6」だったものを一般の「N」に置き換えてみます。 1回振って1が出る確率は$\frac{1}{N}$です。よって、1回振って1以外の目が出る確率は$1-\frac{1}{N}$となります。次にN回振ってみましょう。「N回のうち少なくとも1が1回出る」という事象の余事象は「N回振って、すべての回で1以外の目が出る」ということです。後者の確率は$\left(1-\frac{1}{N}\right)^N$です。よって求める確率は
$$1-\left(1-\frac{1}{N}\right)^N$$
となります。

では本題

すごろくなどなんでもいいのですが、さいころを使ったときに「さいころのある目が出る確率は$\frac{1}{6}$だから、6回に1回出るね」のような言い方をしてしまうときがあるのではないかと思うのですが、これについて考察してみましょう。

上の問題では「1から6までの番号の書いてあるさいころを6回振り、1が出るかを見る」ということを考えました。一つの目が出る確率は確かに$\frac{1]{6}$なのですが、6回振って1が出る確率は1にならないです。つまり、6回振って1が必ず出るとは限らないということです。(逆に、運よく2回、3回と出ることもあります。)

また、問2では試に6を「N」に一般化してみました。要するに、「$\frac{1}{N}$の確率で1が出るさいころをN回振ってみた。」ということですね。こう考えてみても、$\frac{1}{N}$の確率で1が出るさいころをN回振って1が出てくる確率は1になるどころか$N\to\infty$を考えると
$$\lim_{N\to\infty}1-\left(1-\frac{1}{N}\right)^N=1-\frac{1}{e}=0.63212…$$
のようになるので、せいぜいこの確率で頭打ちになるということです。

そうすると、以下の疑問が出てきます。

さいころの1の目が出る確率$\frac{1}{6}$とはどういうこと?
もっと一般に、「確率$\frac{b}{a}$である」とは、a回の試行のうちb回がその事象になるといってはいけないのか?


確率の本質にかかわることですので、次回書こうと思います。

補足:何しろ初めてこのようなブログ形式の文章を書くので、いろいろなミスやまとまりのない部分などあったらすみません。

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